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火災保険とは何か

投稿日:2018年9月22日 更新日:

火災保険は、損害保険の中では、海上保険と並んで伝統的な保険種目の一つです。建物や家財は常に火災によって損害を被る危険にさらされています。火災による建物や家財などの損害を補償するのが火災保険です。

火災保険で補償される範囲

建物を補償する火災保険には専用住宅を対象とする火災保険と店舗や工場、倉庫など住宅以外の建物を対象とする火災保険があり、種類が異なります。

また、建物のみを補償する火災保険と家財のみを補償する家財保険があり、別々に契約しなければならない制約もあります。

火災保険では、住宅や家財の損害分だけでなく、火災に伴って発生する諸経費もそれぞれの条件が満たされた場合は補償の対象となります。

諸経費とは、残存物の片づけ費用、失火見舞費用、死亡や後遺障害、重傷などの際の傷害費用、臨時費用、損害の防止を軽減するために必要な損害防止費用などです。支払額の算出方法と限度額はそれぞれ異なります。

火災保険という名称の保険ですが、補償対象はこれら以外にもあります。落雷、破裂・爆発、風災・ひょう災・雪災による被害も補償されます。

さらに住宅総合保険の場合、建物外部からの物体の落下・衝突、水漏れ、集団的破壊行為・労働争議に伴う暴力行為・騒じょう、盗難、持ち出し家具の損害、水災による損害にも対応します。火災保険は補償対象がとても広い保険です。

火災保険の種類

かつての火災保険は、純粋に火災保険のみが対象でした。しかし、建物や動産を取り巻くリスクは火災だけではありません。現在では、以下の通り火災危険以外の様々なリスクが補償の対象になっています。

家計対象の火災保険には普通火災保険、住宅火災保険、住宅総合保険、店舗総合保険、団地保険などの種類があります。

1.普通火災保険と住宅火災保険

普通火災保険は最も伝統的で基本的な火災保険です。当初は、火災保険のみを対象にしていましたが、その後、担保範囲が徐々に拡大されて、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災なども対象に加わりました。

普通火災保険が店舗兼住宅、商業施設、小規模工場等の一般物件、中・大規模工場を対象とする工場物件や倉庫物件など、住宅以外の広範囲の物件を対象としているのに対して、住宅火災保険は専用住宅のために作られた火災保険です。

2.住宅総合保険と店舗総合保険

普通火災保険や住宅火災保険よりも補償範囲を広く設計しているのが、住宅総合保険と店舗総合保険です。

普通火災保険や住宅火災保険の補償範囲に、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等、漏水・溢水、盗難、集団的破壊行為・労働争議に伴う暴力行為・騒じょうが加わり、建物・動産に関するリスクを総合的に補償する内容になっています。

単一のリスクに対して個別に保険契約するよりも、総合的に保険契約するほうが保険料を安くすることができます。

3.団地保険

住宅総合保険をベースにして、マンション居住者等のために、水漏れなどの事故により階下の住人に損害賠償責任を負った場合のリスクに対する補償などを組み込んだ保険です。

火災保険の補償内容

これら各種の火災保険の補償内容をまとめたのが下表になります。

火災保険の補償範囲
  住宅
火災
普通
火災
住宅
総合
店舗
総合
団地
<損害保険金>  
火災
落雷
破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災
外部からの物体落下・飛来・衝突等 × ×
漏水・溢水 × ×
集団的破壊行為・労働争議に伴う暴力行為・騒じょう × ×
盗難 × ×
<水害保険金>  
保険価額の30%以上の損害 × × ×
床上浸水 × × ×
地盤面より45cmを超える浸水 × × × ×
<持ち出し家財保険金> × ×
<費用保険金>  
臨時費用保険金
残存物片づけ費用保険
失火見舞費用保険金
傷害費用保険金
地震火災費用保険金
修理費用保険金 × × × ×
修理付帯費用保険金 × × ×
傷害防止費用保険

損害保険はすべて「実損てん補」

火災保険だけでなく、損害保険は「実際に生じた損害のみをてん補する」という考え方に基づいています。これは「保険金は実際に補償すべき損害額だけが支払われる」という意味です。

比例てん補の適用については、住宅火災保険、住宅総合保険、店舗総合保険、団地保険においては一部適用要件が緩和されています。

具体的には以下の通りです。

  • 保険金額が保険価額の80%以上の場合:保険金額を限度として実際の損害額が支払われます。
  • 保険金額が保険価額の80%未満の場合:次の式で算出されます。支払保険金額=損害額×(保険金額/保険価額×80%)

なお、保険金額は保険の目的の評価額を基準に決定しますが、評価額の基準については再調達価額または時価のどちらにするかを契約時にあらかじめ決めることになっています。

再調達価額とは、同等のものを新たに購入したり、復旧するのに必要な金額のことで、この場合は損害額=復旧費用として保険金が支払われます。

一方、時価は再調達価額から保険の目的の減価額を控除した金額で、受け取った保険金ですべてが復旧できないことがあるので注意が必要です。

地震による火災は補償しない

注意しなければならないのは、地震によって発生する火災や津波は、火災保険だけでは補償されないということです。

火災保険とセットで「地震保険」に加入する必要があります。地震保険は火災保険のオプションであるため、火災保険だけの加入はできますが、地震保険だけの加入はできません。

また、自動車保険の場合は、地震・噴火・津波による車両損害や搭乗者傷害を補償する特約を付けなければ、地震の被害について自動車保険の保険金は支払われませんので注意が必要です。

台風の被害について

台風による強風や突風を原因とする被害は、火災保険が補償してくれます。例えば、台風で屋根の一部が壊れた場合、実際の損害分の保険金が支払われます。ただし、台風による水災は通常補償されません。水災をカバーするのは住宅総合保険になります。

その場合においても、「建物あるいは家財の評価額の30%以上の損害が生じたとき」や「床上浸水で建物あるいは家財の評価額の15%以上30%未満の損害が生じたとき」などの一定条件に該当しなければ保険金は支払われませんので注意が必要です。

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