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賃貸物件に借家人賠償責任保険は必要か

投稿日:2017年6月20日 更新日:

ほぼ全ての賃貸物件で保険の加入が必須になっています。賃貸の契約では契約終了又は解約時に部屋を返さなければいけません。もし、借りている間に大きな事故(火事など)で物件を使えない状態にしてしまった場合、大家さんに返すことが出来なくなります。

火災などを起こしてしまった場合は大変なことになります。このような場合に備えるために保険の加入が必須になっています。

自分が火元で火災が発生して隣家に類焼した場合の法律上の責任

故意や過失により他人に損害を与えた場合(不法行為)には、民法709条に基づいて損害賠償をしなければなりません。

しかし、賃貸・持ち家を問わず、自分が火元になって火災が発生して隣家に類焼した場合には、失火責任法(失火法)の規定により賠償責任を問われません(ただし、火元の人に重過失があった場合を除く)。

大家さんは隣室や隣家からのもらい火で自分の家財が被害にあっても、その失火者に損害賠償請求することができません。

このため、自分の身(財産)は自分で守るしかないので、自分の所有物である賃貸住宅には火災保険や家財保険をかけて、万一の場合に備えています。

また、賃借人が失火などにより借りている部屋や家を家主に返せなくなった場合、民法415条の規定により、家主に対して債務不履行責任が発生します。家主との賃貸借契約は、契約期間満了後は借りている部屋や家を元に戻して返すことになっています。

しかし、賃借人の失火により、家主から借りている部屋を返すことができないため、民法709条の不法行為とは別の責任(民法415条、債務不履行責任)が発生します。

火災を起こしても重大な過失がなければ損害賠償責任は負いませんが、賃借人には、賃貸借契約によって、退去時に「原状回復する義務」が課せられています。

これによって、万一火災によって建物が焼失したり、損害を与えた場合は、原状回復するための義務があり、それができない場合は損害賠償責任が発生してしまいます。これに対応する保険は「借家人賠償責任保険」というものがあります。

この保険は大家さんのために入ると考えれば分かりやすいです。この保険は、火災や爆発、漏水などによって借りている部屋に損害を与えてしまったときに、原状回復するための費用を補償するというものです。

一般的には家財保険の特約という形で契約することになります。

補償対象は、あくまでも自身が借りている部屋に損害を与えた場合に限られるので、たとえば、自分が火事を起こして、隣の建物に損害を与えた場合は、この保険(特約)では補償されないので注意が必要です。

参考までに火災で隣家に損害を与えてしまう場合などに備える保険は、「個人賠償責任保険」があります。この補償内容は多岐にわたっており、水漏れで階下の部屋に損害を与えた場合などにも補償金が支払われます。

自動車保険や損害保険の特約として加入することが多いので、すでに加入している保険があればチェックして、補償が重複しないように気を付けましょう。

なぜ借家人賠償責任保険に加入するのか?

失火法の規定があるので、大家さんは万一の場合に備えて火災保険・家財保険をかけています。極端な話、賃借人の家財が燃えてなくなろうが、大家さんは困るわけではありませんので、保険に加入するかしないかは賃借人の判断に委ねられます。

ただし、賃借人の失火の場合には大家さんに対して原状回復責任が発生しますので、借りている部屋を火事で燃やしてしまったら元通りにしてもらわないと困るというわけです。それに対処するための保険が、借家人賠償責任保険(借家人賠償責任補償)です。

必ずしも強制されるわけではありませんが、大家さん側からすると何かあったときに責任は取ってもらわないと困るので、賃貸借契約に合わせて借家人賠償責任保険に加入することがあります。

実際にはこの保険は単独契約するものではなく、特約付帯が一般的ですから、火災保険にセットして加入します。そのため、賃貸借契約を結ぶ際、借家人賠償責任保険特約がセットされた火災保険の加入を勧められます。

中には、賃貸借契約に火災保険の契約を条件にしているケースもありますので、賃貸借契約を結ぶ際に確認するようにしましょう。

借家人賠償責任保険の補償内容

借家人賠償責任保険は、主に火災や破裂・爆発、水濡れなどの偶然な事故により、賃貸契約している住宅に損害を出したときに補償されます。これらは自然災害などと違って人の落ち度などで発生する事故です。

中には火災だけ、火災とガス爆発のみ補償するケースもあります。家主の損害賠償に対する補償ですので、人災によるものが中心です。最近はこの補償範囲が広がっており、たとえば、漏水なども対象になってることもあります。

加入するのであれば補償範囲は広い方がよいので加入時に確認しておくとよいでしょう。

住宅の場合は通常の賃貸借契約は2年間ですので、これにあわせて保険期間も2年間で掛金は一括払いになっています(月払で口座振替が残不足で保険料が入金されないと、保険金が支払われないことがあるため)。

なお、借家人賠償責任保険の保険料は保険金額に比例して高くなります。安いものでは500万円くらいから億単位まで設定できます。賠償責任保険なので、不足するのか充分なのか分からないケースがあると思います。

失火した場合は自分の部屋だけでなく、共同住宅なら他の部屋にも損害が及ぶこともあるので保険料を見ながらプランを決めるとよいでしょう。

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個人賠償責任保険と借家人賠償責任保険との違いとは?

個人賠償責任保険は、個人が日常生活の中で偶然な事故によって他人にけがをさせたり、他人の物を壊したりして、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われる特約です。

たとえば、賃貸マンションなどの共同住宅では、階下の人に水漏れさせてしまうことがありますが、こうした場合には個人賠償責任保険が必要になります。ただし、本人やその家族が他人から預かったり借りている物を壊した場合の事故は対象外です。

一方、借家人賠償責任保険は、賃貸住宅にお住まいの方の過失によって火災や爆発などを起こし、借りた部屋や建物に損害を与えた場合、大家さんに対して発生する法律上の賠償責任に対して保険金が支払われる特約です。

このように、借家人賠償責任保険と個人賠償責任保険はなんとなく似ていますが、補償範囲が重なることはありません。

賃貸住宅に入居予定の人の中には、「個人賠償責任保険を契約しているから、借家人賠償責任保険には加入しなくてもいい」などと考える人も多いようです。

しかし、火災によって借りている部屋や建物に損害を与えた場合には、個人賠償責任保険では補償されませんので注意が必要です。

修理費用補償と借家人賠償責任保険との違いとは?

賃貸用の火災保険では、「借家人賠償責任保険」だけでなく、「個人賠償責任保険」さらには「修理費用補償」というものも大抵はセットになっています。

修理費用保険と借家人賠償責任保険は、アパートやマンションなど、借りた部屋に損害を与えた場合の損害を補償する特約ですが、その内容はそれぞれ異なります。修理費用保険とは、大家さんとの賃貸契約に基づいて、借家人が修理した費用を補償する特約です。

火災や落雷、爆発などのほか、風災、物体の落下・飛来、水濡れ、デモなどによる破壊行為により、自己の費用によって修理を行った場合の費用を補償してくれます。

具体的な事例として、強風で飛んできたものが窓ガラスにあたり割れたケースや、道路からの飛び石で割れた窓ガラスを修理したケースなどがあります。これはあくまでも「法律上の損害賠償責任は負わないが、賃貸借契約に基づいて自己の費用で現実に修理を行ったとき」が補償の対象となります。

一方の借家人賠償責任保険は、大家さんに対して法律上の賠償責任を負った場合、その費用を補償する特約です。

このように「修理費用保険」と「借家人賠償責任保険」はそれぞれ内容が異なります。火災保険契約時には、補償内容と保険料をふまえて検討するとよいでしょう。

大家さんの火災保険があれば借家人賠償責任保険は不要であるか

ここまで記事を読んだ人の中には大家さんが加入している火災保険を使えばよいのではないかと思った人もいるでしょう。確かに不動産を所有している人であれば火災保険に加入しているケースは多いはずです。

部屋を借りている人が失火により賃貸物件を燃やしてしまった場合で、かつ賃貸人が借家人賠償責任保険に加入していなかったら、大家さんはどうするでしょうか。保険金請求の手続きの関係で大家さんの火災保険から保険金が支払われるのが多いようです。

つまり、自分(賃貸人)は大家さんに対して損害賠償責任を負うけど、大家さんは自身の火災保険で損害を補てんするから、大家さんから損害賠償請求をされることはない場合が多いようです。

現状、大家さんの保険を利用することが多いようですが、保険金を大家に支払った保険会社が賃借人に対する損害賠償請求権を代位取得して請求はしないのかという疑問が出てきます。

この点は火災保険の約款に代位求償権の権利不行使条項が多くの保険についているようですが、もし大家さんの火災保険に代位求償権の権利不行使条項がついていないようなことがあれば、当然保険会社から損害賠償請求が来るでしょう。

こうなると借家人賠償責任保険は不要であるとはいいがたい状況になります。借家人賠償責任保険に加入しなくても、代わりとなるような保険に加入する必要はあるのではないかと思います。

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