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損害保険における損害区分について

投稿日:2018年12月1日 更新日:

地震による被害を受けて地震保険料の請求を行う際に、いくらの保険料が支払われるかを決める損害区分があります。受けた被害がどの区分されるかによって、受け取れる金額が大きく変わってきますので、非常に重要な存在となります。

地震保険の保険金の額の決定方法

地震による損害を受け、保険金を請求すると、その損害は「全損」(100%)、「半損」(50%)、「一部損」(5%)の3つの区分によって決まります。

なお、2017年1月に地震保険が改定され、損害区分の上記3区分から4区分に細分化されました(全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%)。改定前の半損(保険金額の50%)は一部損(保険金額の5%)と保険金額の差が大きくなっています。

これを損害の程度に照らした損害区分として、小さい損害割合の差で保険金に大きな較差がつくことがないように、「半損」の区分が保険金額の60%が支払われる「大半損」と保険金額の30%が支払われる「小半損」に細分化しています。

この改定により保険始期が2016年12月31日以前か、2017年1月1日以降かによって上記のように損害区分が異なります。少なくてもこれからの5年間は損害区分が2つ存在することになります。(地震保険は最長5年契約のため)

地震保険改定前(2016年12月末まで)
 

判断基準

支払金額

全損

建物

基礎、柱、壁、屋根等(以下「主要構造部」)の損害の額が建物の時価額の50%以上

地震保険金額の100%(時価が限度)

焼失または流出した床面積がその建物の延べ床面積の70%以上の場合

家財

家財時価の80%以上の損害

半損

建物

主要構造部の損害の額が建物の時価額の20%以上50%未満

地震保険金額の50%(時価の50%が限度)

焼失または流出した床面積がその建物の延べ床面積の20%以上70%未満の場合

家財

家財時価の30%以上80%未満の損害

一部損

建物

主要構造部の損害の額が建物の時価額の3%以上20%未満

地震保険金額の5%(時価の5%が限度)

床上浸水もしくは地盤面より45㎝を超える浸水により損害を受けた場合で、全損・半損ほどの損害ではない場合

家財

家財時価の10%以上30%未満の損害

地震保険改定後(2017年1月以降)
 

判断基準

支払金額

全損

建物

基礎、柱、壁、屋根等(以下「主要構造部」)の損害の額が建物の時価額の50%以上

地震保険金額の100%(時価が限度)

焼失または流出した床面積がその建物の延べ床面積の70%以上の場合

家財

家財時価の80%以上の損害

大半損

建物

主要構造部の損害の額が建物の時価額の40%以上50%未満

地震保険金額の60%(時価の60%が限度)

焼失または流出した床面積がその建物の延べ床面積の50%以上70%未満の場合

家財

家財時価の60%以上80%未満の損害

小半損

建物

主要構造部の損害の額が建物の時価額の20%以上40%未満

地震保険金額の30%(時価の30%が限度)

焼失または流出した床面積がその建物の延べ床面積の20%以上50%未満の場合

家財

家財時価の30%以上60%未満の損害

一部損

建物

主要構造部の損害の額が建物の時価額の3%以上20%未満

地震保険金額の5%(時価の5%が限度)

床上浸水もしくは地盤面より45㎝を超える浸水により損害を受けた場合で、全損・半損ほどの損害ではない場合

家財

家財時価の10%以上30%未満の損害

地震保険で損害区分による保険金の支払が行われるのは、「地震」という災害の特性が考慮されているためです。地震では、一度に多数の損害が出ます。

このため、一件ごとに細かく査定をすると保険金の支払いに時間がかかり、損害を受けるのが家屋や家財など、生活していくためにどうしても必要なものが多いことを考えた場合、少しでも早く保険金を支払うことが求められるため、このような方法がとられています。

損害区分はどのように決められるのか

損害区分は損害保険会社から派遣される鑑定人による鑑定で決定されます。地震により損害を受けたことを損害保険会社に連絡すると、鑑定人が現場に来て実際に損害状況をチェックして、鑑定してもらいます。

ただし、東日本大震災のような大規模な被害の場合、一件ごとチェックしていると保険金の支払いまでにかなりの時間がかかりますので、航空写真などを使って「全損」の地域を決めておくなどといった対応がとられることがあります。

鑑定では、損害保険会社の各社共通の鑑定基準を設けられており、これを使用することによって損害保険会社や鑑定人ごとに判断に大きな違いが出ることがないように配慮されています。

ただし、一度に多数の鑑定が必要になる大地震では、細かくチェックすることが難しく、見落としや誤った鑑定が生じる可能性があることも否めません。

このため、鑑定人が来る前に自分で損壊部分の確認をしておき、鑑定人の鑑定の際には立会いをするようにした方がよいでしょう。通常、鑑定は建物外部から行われることが多くありますが、必要に応じて内部への立ち入りをお願いすることも可能です。

鑑定結果に納得できないときは

地震保険では、鑑定の結果によって受け取れる保険金の額がかなり異なります。「全損」なら1,000万円の保険金が受け取れるところ、「半損」なら500万円、「一部損」なら50万円となります。

この金額によって生活の再建に向けた計画も全く違うものになるので、「鑑定後に自分で確認していて、新たに損傷している箇所が見つかった」「使えるものと判断された建物に付随した建具や家財道具などが実際には使えなかった」等、鑑定の結果に納得できない場合には、損害保険会社に再度、鑑定を依頼するとよいでしょう。

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