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遺言書の作成は相続人に配慮し慎重に!

投稿日:2018年12月18日 更新日:

家族のために遺言書を作成する方が増えてきていますが、遺言書の作成は相続人となる家族の負担を軽減するだけでなく、ほかにも様々なメリットがあります。

ただし、遺言書の内容によっては、遺言書があることで、かえって相続トラブルが生じてしまうといったことにもなりかねませんので注意が必要になります。

遺言書の作成でトラブル発生!

1.自筆証書遺言でトラブル

大阪に住む80代女性のAさんは、亡くなった夫と暮らした家に長男一家と同居していました。その一方で都内に住む次男夫婦とは交流がありませんでした。

Aさんは、夫婦で病気がちだったため預貯金はほとんどなく、家は長年支えてくれた長男に住み続けてほしいと願っています。そこで、Aさんは自分の意思を残すため、手書きで遺言書を作成しました。

ところがAさんが死去した後、次男が長男に対し、唯一の財産の自宅を自分が相続できるよう、Aさんに遺言書を書かせたのだろうと言ってきたのです。次男は遺産をもらう権利を主張し、兄弟仲が険悪になってしまいました。

2.公正証書遺言でトラブル

埼玉県に住む80代女性のBさんは、夫が残した家で一人暮らしをしていました。近くの三女が面倒を見てくれていますが、関西で生活いる長女と次女は入院しても顔を出さず、心情的に三女に全財産を残したいと思いました。

しかし、姉妹の仲が悪くなるのを心配して、公証役場で遺言書を作成し、遺産は平等に分けるようにしました。しかし、それを子どもたちに伝えると、三女が納得いかないと姉妹間で言い争いになってしまいました。

遺産が自宅とわずかな預貯金の場合は揉めやすい

遺言書の作成目的をしっかり考えることは必要です。子どもたちがもめないようにするのも良いでしょう。しかし、よかれと思った遺言書が、結果としてトラブルを招くことがあります。遺産が居宅と少額な預貯金程度の場合、残った子どもたちでスムーズに分けられずにもめがちです。

だからといって一つの不動産を共有名義にすると、次の相続や売買でもめる可能性があり、避けるべきでしょう。また、特定の子に世話になった場合は、その子の感情を無視すべきではありません。

トラブル回避の方法とは?

Aさんのケースでは、遺言書を手書きで作ったのが間違いでした。自筆証書遺言は誰にも知られずに作れますが、誰かに意図的に作らせたとも思われがちです。それを防ぐには、公正証書遺言にし、その内容についての理由や自分の思い(付言事項)も残すべきです。

Aさんの場合は「長男にはよく面倒を見てもらった」など、特定の相続人に財産を多く残したい理由を付言事項として記載しておくことで、他の相続人が納得しやすくなり、相続トラブルをぐっと抑えることができるかもしれません。

Aさん本人の思いがわかれば、「長男が書かせた」とは言われなかったでしょう。

Bさんの場合は、遺言書の作成を伝えたことがマイナスになりました。遺言書を作成したことやその内容を伝えるかはケース・バイ・ケースです。

遺産をどう分けるかについて、子どもの心情にも配慮すべきでした。世話になった三女へは遺産とは別に死亡保険金や生前贈与で調整するなどの方法があります。

遺言書の作成は記載する文言に細心の注意を払う

自筆証書遺言、公正証書遺言を問わず(公証人が作成した遺言書であったとしても、内容が誤っている可能性はゼロではありません)、書面捺印をする前に文章をよく読み返しましょう。

また、自筆証書遺言の場合、無効にならないよう、全文自筆、日付、署名、押印は欠かせません。死亡後の家庭裁判所の検認(証拠保全手続き)も必要です。封印されたものが開封されても無効にはなりません。

遺言の目的達成が自分だけでは難しいと感じたら、書類作成の専門家である相続や遺言書に詳しい行政書士などと相談しながら作成することをオススメします。

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