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リタイア後は現役時代に育てた貯蓄を取り崩す時期

投稿日:2017年10月4日 更新日:

現役時代に蓄えた金融資産を、老後の生活のために取り崩すことができますか。多くの人はせっかく築いた金融資産を取り崩せないと答えるでしょう。

約40年にわたる現役時代の家計管理では、貯蓄は増やしていくもので、取り崩して生活費を穴埋めするというのはもってのほかと考えるでしょう。しかし、老後の家計は赤字になることが多く、貯蓄を取り崩して生活するのが当たり前になります。

現役時代と老後の家計は大きく変わる

現役時代の家計管理は、毎月の生活費を収入より低く抑え、差額を貯蓄に回すのが一般的です。毎月の収入に加えて、ボーナスも貯蓄に回します。毎月コツコツ貯蓄を行って、金融資産の山を高くしていくのです。

高くなった金融資産の山を取り崩す時は、マイホームの購入や子どもの進学など、まとまった資金が必要なライフイベントの時だったはずです。

一方、リタイア後は、現役時代と比較するとまとまったお金を一度に取り崩すライフイベントが少ない反面、毎月の収支が赤字(収入−支出=マイナス)となるケースがほとんどです。

赤字を調整するような臨時収入(現役時代のボーナスに相当)がないことから、どうしても毎月または隔月や3ヵ月毎に貯蓄(資産)を取り崩していかざるを得ない状況になります。なぜなら、毎月の支出を上回るような収入や公的年金等を受け取っている人は少数派に過ぎないからです。

現役時代は、毎月給与を受け取り、「今月は今月の収入でやり繰りし、来月は来月の収入でやり繰りする」という感覚で家計管理をしてきた人もいるでしょう。老後の公的年金の受け取りは偶数月のみです。

2ヶ月分の収入が一度に入ることに慣れず、「年金を受け取れない奇数月は収入が0円で、不安だ」と感じるかもしれません。

老後は貯蓄(資産)を取り崩す時期である

本来であれば、貯蓄(資産)を取り崩すのをためらうべきではないはずなのに、既にリタイアしているにもかかわらず、老後が不安だからと言って取り崩すことに抵抗がある人が多いのです。

貯蓄の取り崩しに抵抗がある理由は、40年前後も長期間=現役時代は黒字家計の運営を基本してきたために、リタイアしていきなり赤字家計に変わったとしても、心理的にどうしても慣れ親しんだやり方をすぐに転換し、金融資産を取り崩すことへの抵抗感をなくすことができないのです。

きちんと貯蓄(資産)が蓄えられているのに貯蓄の取り崩しをしないがため、豊かなリタイア後を過ごすことができないことは本末転倒といわざるを得ません。

リタイア後は現役時代に蓄えてきた貯蓄を使う時期なので、取り崩しても構わないように家計管理の考え方を改めなければならないのです。そして、リタイア後はストレスなく金融資産を取り崩せるようにする必要があります。

貯蓄を取り崩す慣らし運転が必要

リタイア後に向けて貯蓄(資産)を取り崩す考え方を慣らし運転で身に付ける必要と思われます。何歳から始めるのが妥当であるとはいい切れないうえ、また現役時代からは早すぎます。

全員が公的年金を受け取ることができる65歳時に抵抗がなく、貯蓄(資産)を取り崩せるようにするには、60歳あたりから取り崩しの慣らし運転を始めるのがよいと思います。

取り崩したお金は毎月使うのが望ましいのですが、使い切れなかったら翌月に回すことや前倒し消費などを行うべきでしょう。矛盾するかもしれませんが、なるべく無駄遣いは控えるようにしましょう。

退職前後のリタイアメントプランは、お金を増やすことがメインではなく、これまで築いてきた貯蓄(資産)を使うことをメインに考えるプランなのです。このため貯蓄(資産)を取り崩すことに慣れることがとても大切になるのです。

金融資産の取り崩しに抵抗がある人は運用しながら取り崩しをすることも検討

リタイア後、悠々自適になると、貯蓄から取り崩すイメージで暮らす人が大半です。虎の子のお金なので、失くしたら大変という思いからでしょう。それは、金融資産の半分以上が現預金になっていることからも分かります。

しかし、安全なものにしているといいながらも安心して心にゆとりを持った生活を送るのは難しいでしょう。

貯蓄がだんだん減っていくというのは寂しいもので、十分な貯蓄(資産)がなく増えないままだと、長生きしたのはいいけれど、手持資金が枯渇し、公的年金のみで暮らすというリスクに向き合うことになりかねません。

たとえば、3,000万円貯めたとして、65歳で退職後、毎月10万円取り崩していくとすると、現在のようなゼロ金利の場合、90歳で貯蓄は枯渇します。これをたとえば1%や2%%などで運用すると、運用による収益で元本が少なくなる額が抑えられ、90歳より長く持ちこたえられます。

これからの老後は、65歳からでも30年くらいは見ておく必要がありそうです。また配偶者のことを考えれば、もっと先まで見ておかなければならないでしょう。

その間の時間をいかに正しく運用で使うかは、老後の生活をいかに質が高く、心豊かで安心して過ごすことができるかにつながります。その内容により、リタイアまでに必要となる貯蓄額やリタイア後の目標の運用利回りが決まります。

正しい資産運用とは

正しい資産運用とは、どういうものでしょう。簡単にいいますと以下の3つのキーワードに集約されます。

  • 長期
  • 分散
  • 低コスト

「長期」は、資産運用を人生と同じ時間軸で見ることです。2年や3年で結果を求めずに10年、20年先に運用で資産がどうなるかを考えます。

「分散」とは、日本だけでなく投資対象を海外にも分散させます。そうすることでリスクが分散されます。

「低コスト」は、投資信託の信託報酬(運用管理費用)を抑えることが、20年、30年と長期に渡った運用成果に大きな違いとなって現れます。

リタイア後こそ正しく運用する効果が大きい

老後にお金を失くしたら大変だと過度に保守的になると、かえって資金が枯渇するリスクが高くなります。ある調査によると、25歳から40年間お金を積み立てながら拠出した額と65歳からの引き出し期の30年間に運用した収益は、両方とも老後の引き出し額合計の30%前後で、ほぼ同じ額です。

残りの約40%は積立期間40年の運用収益です。まとまった資金による老後の運用の寄与度は大変大きく、むしろこの老後の期間にしっかり運用することが老後の生活を豊かにし、心にゆとりを持って暮らせるカギといってもよいでしょう。

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