生活全般

ニコチンがもたらす身体への影響とは? 電子タバコは安全なのか?

投稿日:2017年9月1日 更新日:

タバコはこのニコチンを摂取するための嗜好品ですが、喫煙者の方はなぜニコチンを求めるのでしょうか。タバコをやめたいのにやめられない原因は、ニコチンにあります。タバコは健康へ悪影響を与える可能性があることが強く謳われています。

何となく身体に悪いとはわかっているけれど、具体的にどのような害があるのかというのは、タールの害に比べると、あまり知られていないのが現状です。禁煙を考えている人はもちろん、今のところ禁煙するつもりがないという喫煙者もニコチンの身体への影響について理解しておきましょう。

タバコに含まれる有害物質

タバコには4,000種類以上の化学物質が含まれており、そのうち有害物質は200種類以上といわれています。中でも「3大有害物質」と呼ばれるのがニコチン、タール、一酸化炭素です。有害物質は喫煙者が吸い込む主流煙だけでなく、タバコの火の先端から出る副流煙にも含まれています。

1.ニコチン

ニコチンはアルカロイドの一種で毒物に指定されている物質です。タバコの強い中毒性はこのニコチンによるものです。タバコを吸うとニコチンは数秒で全身にまわり、脳内にある快楽を感じる場所へ作用します。

ニコチンが脳にある受容体(ニコチン受容体)と結合すると快感物質であるドーパミンが放出されます。タバコに美味しさを感じたり、喫煙によってストレスが軽減されたりするのは全てドーパミンの作用によるものです。

この快感を覚えることにより脳はより多くのニコチンを欲するようになります。これが何度も繰り返されると本来ニコチンが無くても、普通に過ごせるはずなのにニコチン専用の脳になるのです。

そして、血中のニコチン濃度が減ると激しい離脱症状が起こり(=肉体的依存)、脳が私たちをイライラさせ、ニコチンを摂るように命令を出します。このようにしてニコチンに作り替えられてしまった脳は、ニコチンが切れて集中できなくなってもタバコを吸えば活性化する脳になっているのです。

このほか、ニコチンには血管を収縮させる作用もあります。血管が収縮した結果発生するのが血圧の上昇です。血の通り道が細くなることで血管壁にかかる圧力が上昇してしまいます。

そのまま高血圧が慢性化すると、脳卒中や動脈硬化などの病気のリスクが増加し、大病を招いてしまうかもしれません。

2.タール

タールはタバコの有機物質が熱分解することによって発生する液体です。タールを形成する化学物質の数は4,000種に上るとされ、タバコの煙には発がん性物質だけで約60種類以上、有害物質全体にすると約200種類以上の有害物質が含まれています。

タバコの煙とともに出てきて、そのまま肺や喉、皮膚にこびりつきます。閉め切った喫煙室を見ると壁が黄ばんだ色になって、ベタベタするところが見られることもあるのですが、きれいに掃除しようとしても汚れはなかなか取れません。

このような物質を体内に取り込んでいるわけです。タールに含まれる何十種類もの発がん性物質が肺胞や喉に細胞レベルで食い込み、肺がんや咽頭がんを引き起こすのです。

3.一酸化炭素

タールやニコチンと比べると少量ですが、タバコには一酸化炭素も含まれています。一酸化炭素はタバコの葉が不完全燃焼を起こすことで生じます。一酸化炭素が体内に取り込まれると酸素の200倍以上の結合力でヘモグロビンと結びつきます。

通常ならば、ヘモグロビンが酸素を全身に運びますが、酸素ではなく一酸化炭素と結合してしまうので全身が酸欠状態になるのです。タバコで一酸化炭素中毒になる可能性はほとんどありませんが、人体に影響がないわけではありません。

少量であっても体内に運ばれる酸素量を低下させてしまうため、慢性的な酸素不足を招きます。酸素不足の慢性化は赤血球が過剰に増加し、二次性多血症を引き起こす可能性があります。二次性多血症とは、血液の粘度が必要以上に高まる病気のことです。

場合によっては血管がつまり、より重篤な病気を招くことがあります。

ニコチンによる身体への具体的な影響

1.心臓や血管への悪影響

タバコに含まれるニコチンの作用によって、血管を収縮させ、血行を阻害します。さらに、末梢血管の血流の減少により、血圧が高くなり、心臓や血管にもダメージを与えていまします。これにより、体温が下がり、全身の新陳代謝までもが阻害されてしまうのです。

また、ニコチンはコレステロールを酸化させるため、善玉コレステロールまで悪玉コレステロールに変化させ、血液の凝固性を高めるホルモン分泌を盛んにさせて、動脈硬化の原因を作ります。

2.生理不順

ニコチンの作用によって、女性ホルモンに影響が出ます。女性ホルモンは生理と深く関係するホルモンですので、分泌量が低下すると生理不順あるいは月経前症候群(PMS)、さらには不妊の原因にもなるのです。

3.肌荒れ

ニコチンによって、血行が阻害され、新陳代謝が低下することで栄養や酸素が送られなくなると、最初に影響を被るのが、皮膚のように非常に細い血管が集まっているところです。肌のターンオーバーにも異常が起こし、肌荒れになります。

加えて、一酸化炭素が血液中のヘモグロビンを酸素から奪い取ってしまうため酸欠状態となり、肌を修復する機能をいっそう衰えさせてしまいます。

4.妊娠、出産、赤ちゃんへの悪影響

ニコチンは水溶性物質のため、血液に乗って胎盤から赤ちゃんへと浸透していきます。すると子宮内の赤ちゃんにも大きな影響を及ぼすことになります。喫煙を続けている妊婦さんから生まれる赤ちゃんは、平均よりも体重が軽かったり、早産などのリスクも高まります。

また、体内にニコチンを多く含んでいる女性から生まれた赤ちゃんは、成長が遅いと言われています。

5.動脈硬化を引き起こす

ニコチンは、善玉コレステロールを減少させます。血管の壁を傷付ける可能性が高くなり、そこから悪玉コレステロールがどんどん溜まっていき酸化して溜まっていきます。

そこに石灰沈着や潰瘍(カイヨウ)、血栓(ケッセン:血管内の血液が何らかの原因で形成した塊で本来は止血機能をなす)などを生じて、動脈が厚くなり、酸素や栄養素が細胞に行き届かなくなり、まわりの組織が壊死して、動脈硬化を引き起こします。

また、ある研究では、喫煙者が動脈硬化に陥る危険性は非喫煙者の約5倍以上ともいわれています。

6.腎臓病を引き起こす

腎臓は体内の毒素を集めて、そしてきれいに浄化する目的を持った臓器です。この腎臓がうまく働かなくなると毒素が体中にめぐり回って、死に至ります。ニコチンが体内に入ると「毒物」と判断して腎臓でニコチンを濾過します。そして濾過したものが尿として体外に排出されます。

ところがニコチンの場合、その毒素が非常に強いため、無毒にするまで長い時間がかかります。こうして長年、タバコを吸うことで腎臓に負担がかかるため、腎臓病を引き起こす原因となります。腎臓病を悪化させると腎不全にもつながります。

タバコは周囲の人の健康も奪う

タバコに含まれる有害物質や発がん物質は喫煙者の健康を奪うだけでなく、喫煙者の家族や友人、職場の同僚など、大切な人の健康も奪います。タバコの煙には喫煙者が直接吸い込む「主流煙」と火のついた先から立ち上る「副流煙」に分かれます。

この副流煙には、主流煙に比べてニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も含まれています。この副流煙を、自分の意思とは関係なく吸い込んでしまうことを「受動喫煙」といいます。

受動喫煙にさらされると、がんや脳卒中、心筋梗塞、呼吸器疾患などのさまざまな病気のリスクが高くなり、さらには妊婦や赤ちゃんにも悪影響を及ぼすことが分かっています。このため受動喫煙は近年、社会全体で取り組むべき問題として認識されています。

電子タバコは大丈夫か

百害あって一利無しといわれているタバコですが、その代用品となるのが電子タバコです。電子タバコは代用品となり得るのでしょうか。

1.電子タバコとは

電子タバコとは、タバコ型の吸引器を使い、タバコやミント、フルーツなど様々な味や香りがつけられた水蒸気を吸うものです。吸入するときの感覚が紙巻タバコに近いといわれ、たばこの代用品として使用されたり、禁煙目的で使用されることもあります。

海外の製品にはニコチンを含む商品があるのですが,日本ではニコチン含有商品の販売を薬事法上禁止されています。

2.電子タバコの危険性

電子タバコの発売当初は無害だといわれていましたが、最近の研究で電子タバコ一部の商品には、毒性の強いホルムアルデヒドなどの発がん性物質が多数含まれていると発表されました。

また、国内で販売されているにも関わらず、ニコチン入りの電子タバコも多数確認されました。販売は国内でも製造元が海外の場合、電子タバコにニコチンが含まれることがあるそうです。

電子タバコの普及が広がると同時に、電子タバコによる健康被害も急増しました。電子タバコによる健康に及ぼす被害や程度が未だにはっきりしていない部分が多く、安易に使用するのは危険です。

喫煙で溜まったニコチンを減らすには

喫煙を続けることでニコチンが体内に残り続け、結果的に中毒症状を引き起こしますが、正しい禁煙策を講じることでニコチンを計画的に減少させることができます。

喫煙をやめれば老廃物と共に自然と排出されますが、喫煙者にとってそれは簡単なことではなく「禁煙を始めたものの数日も持たなかった」というケースが非常に多いでしょう。

そのため無理に禁煙から始めるのではなく、複数の対策から自分に合ったものを見つけ、継続しながら体質改善を図ることが大切になります。

1.運動

ニコチンを排出するポピュラーな対策が「運動」です。ニコチンは血中に取り込まれ脳へと運ばれるため、運動をして代謝を上げると発汗や排泄を通じて体外に排出しやすくなります。

肝臓や腎臓に溜めこまれたニコチンの排出も促進するため、臓器にかかる負担を低減する効果も期待できます。

2.水

ニコチンのスムーズな排出には「水」が欠かせません。起床直後と就寝前にコップ一杯の水を飲むようにすると血流が改善され、尿でニコチンの排出を促進する働きがあります。「一服したい」と感じたら、まずは水分補給をすると良いでしょう。

3.食生活の改善

普段から禁煙に効く食べ物を摂取するよう心掛けると良いでしょう。特に効果的な食べ物がビタミンを豊富に含むブロッコリーやショウガ、そしてオレンジといった柑橘類です。

ビタミンは新陳代謝をサポートする重要な栄養素ですが、タバコの化学物質は体内のビタミンを破壊するため、喫煙者はビタミン不足になりがちです。ニコチンの排出を促進するにはビタミンの存在が不可欠なので、積極的に摂取しましょう。

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