傷害保険の特徴|自分に必要な保険を賢く選ぼう!

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「偶然のリスク」によって発生した 「実損額」を補償するのが、損害保険の特徴です。そのために一定額の保険金が支払われる生命保険などとは異なり、損害額により保険金の支払いが変わる「実損払方式」が中心となっています。

保険金は契約時の保険金額を上限として、実際に損害にあった金額分だけが支払われます。
損害保険では、損害より不当な利益を得ることを防ぐという考え方があり、これが『実損払い』の基本になっています。

補償対象の傷害とは何か

傷害保険は生命保険と同じく「物」ではなく「人」を対象とし、事故による傷害(ケガ)を補償する保険です。

生命保険が人の生死を対象にしているのに対して、傷害保険は「急激」、「偶然」および「外来」の3つの条件を満たす事故によって通院や入院をすることになった場合に保険金が支払われます。

1つめの条件の急激とは、「原因となった事故」から「結果としてのケガ」までの過程に時間的な間隔がないということです。「突発的な事故」に相当する事象です。したがって、日焼け、しもやけなどのように、長い期間を経て発症したような事象は補償対象になりません。

2つめの条件の偶然とは、保険加入者にとって「予知できないこと」を指します。「原因の発生が偶然である」、「結果の発生が偶然である」や「原因・結果とも偶然である」のいずれかに該当する事故のことです。

たとえば、自転車の走行中に躓いて転倒し、ケガをした場合や歩行中に看板の一部が落下、頭に当たりケガをした場合などが該当します。一方で、自分から喧嘩をしかけて、逆に殴られてケガをした場合には補償されません。

負傷することがある程度予測でき、「必然性がある」と解釈されるからです。

3つめの条件の外来とは、ケガの原因が身体の外からの作用によることを指します。したがって、料理をしているときにガスコンロで火傷した場合は補償されます。一方、脳梗塞で倒れてケガした場合は補償されません。

この場合はケガの原因が自らの病気であり、外来性がないからです。

なお、3つの条件を満たしているものであれば、ケガの他にも「有毒ガスによる急性中毒」は補償対象になります。ただし、細菌性食中毒とウイルス性食中毒は保険金支払の対象とはなりませんので注意が必要です。

傷害保険の種類

傷害保険には多くの種類があります。補償範囲によって以下のように分けることができます。

1.普通傷害保険

最も代表的な傷害保険です。国内外を問わず、家庭、職場、通勤・通学途中や旅行中など日常生活における様々な事故による傷害を補償します。事故で入院した場合は入院保険金、通院した場合には通院保険金が支払われます。

入院保険金は事故の日から一般的に180日を限度として、「入院日数1日あたりいくら」という方式で算出されます。通院保険金の限度期間には、事故の日から90日と180日があり、入院と同じく「通院日数1日あたりいくら」という方式で算出されます。

傷害を直接の原因として死亡したときは死亡保険金、後遺障害が生じたときは後遺障害保険金が支払われます。どちらも概ね事故の日から180日以内に生じるケースが対象となっています。後遺障害保険金は、傷害の程度に応じて保険金額の3%~100%が補償されます。

近年では「損害賠償責任」を特約として盛り込んでいる商品が増えています。誤って他人にケガをさせたり、他人のものを壊したりして賠償責任を負うことになったときに保険金が支払われます。

なお、普通傷害保険は加入者本人のみが有効な傷害保険ですが、特約で「家族障害保険」に入れば対象範囲を家族まで広げることができますが、保険料はその分アップします。

2.交通事故傷害保険

国内外を問わず、交通事故による傷害を補償します。道路を歩行中または自転車での移動中の事故、乗り物に乗っているときの事故、駅構内での傷害事件なども対象になります。また、特約によって保険の範囲を家族にまで広げることもできます。

1つの契約で自動的に家族全員が被保険者となり、交通事故傷害保険と同様の傷害を補償する「ファミリー交通傷害保険」と呼ばれるタイプです。近年登場したものに自転車事故による賠償、傷害、通院保険金を特約で補償する「自転車総合保険」もあります。

3.国内旅行・海外旅行傷害保険

旅行を目的に家を出発してから帰宅するまでに被った傷害事故や賠償責任事故を補償する保険です。

また、特約により、旅行中に携行品(所有またはレンタルで携行するカメラ、カバンなど)が盗難・破損・火事などによって損害(携行品損害)を受けた場合も補償されます。現金、小切手、クレジットカードなどの盗難や破損は補償の対象外です。

国内旅行傷害保険では、旅行中の交通事故やスポーツ中の事故で被ったケガなども補償されます。また、細菌性の食中毒などの普通傷害保険の対象とはならない部分も補償対象となっています。

海外旅行傷害保険では」、特約により病気の治療費、病気による死亡、賠償責任、家族が見舞いに赴くための費用なども補償されます。海外では一般的に医療費が日本と比べて非常に高く、たとえば、アメリカでは救急車を利用するだけで高額な料金を請求されます。

そのようなリスクにも備えることができます。また、旅行行程中の事故であればその場所が国内であっても補償の対象となります。なお、国内旅行傷害保険・海外旅行傷害保険とも「仕事での出張」の場合でも利用可能になります。

4.傷害総合保険

「普通傷害保険」の補償範囲に加えて、日常生活におけるほとんどの事故による傷害を総合的に補償する保険です。たとえば、オプションとして、ケガだけでなく病気も補償するタイプや、家財の損害も補償するタイプ、借家人賠償責任がつくタイプもあります。

また、傷害事故によって介護が必要になった場合に終身補償する介護保険金や、犯罪被害で死亡した場合に精神的損害などを補償する被害補償金などもあります。

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レジャーやスポーツの事故に備える傷害保険もある

ゴルフやスキー、スノーボード、キャンプやトレッキングなどの特定のレジャーやスポーツのプレー中に事故によってケガをした場合や、誤って他人を傷つけたり、他人の持ち物に損害を与え、賠償責任を負った場合に備える保険です。

また、特定のスポーツに限り用品紛失補償がつきます。ゴルフのクラブ、テニスのラケット、スノーボードのボード板など、そのスポーツに使用する用品を紛失したり、盗難されたりした場合に保険金が支払われます。

なお、損害保険会社によっては、国内・海外旅行をレジャーと定義し、国内旅行傷害保険・海外旅行傷害保険とあわせて「レジャー保険」と区分しているところもあります。

レジャー保険の対象となるレジャーは、ゴルフ、スキー、スノーボード、スケートです。スポーツ保険の対象となるスポーツはサッカー、バスケットボール、バレーボール、テニス、水泳、登山、ハングライダーなどです。(損害保険会社によっては対象となるレジャーやスポーツが異なることがあります。)

女性や子ども限定の保険

主に働く女性のみを対象とした傷害保険も数多く登場しています。国内外での傷害事故、賠償責任、携行品損害などに備えるもののほかに特約でホームヘルパーの雇い入れ費用を補償する保険やストーカー対策にかかる費用を補償する商品もあります。

近年増えてきた積立女性保険では、満期時に所定の満期返戻金が支払われます。また、保険期間の途中で所定の返戻金が支払われる契約方法もあります。子どもを対象とした保険の代表がこども総合保険です。

満23歳未満を被保険者として、国内外を問わず、家庭内、学校、通学途中などに起こるすべての事故による傷害を補償します。また、扶養者が事故によって後遺症を被ったり、死亡したりした際の育英資金、日常生活における賠償責任も補償します。

これらのほかにも海外の高校や大学へ留学する学生を対象とした留学保険があります。留学中の傷害死亡、後遺障害、疾病死亡、賠償責任、携行品賠償、救援者費用などが補償されます。

海外旅行傷害保険は年齢制限も

傷害保険は年齢や健康状態によって保険料が変わることはほとんどありません。主な対象がケガなので、年齢や健康状態に影響されないからです。つまり、基本的に年齢制限がないということです。

しかし、海外旅行傷害保険には損害保険会社によって70歳までしか加入できないものや69歳以下と70歳以上では保険料が変わる商品があります。

これは高齢になればなるほど海外旅行が身体の負担になり、事故によるケガを負いやすくなるというリスクを考慮した設定です。

自然災害に傷害保険は利用できるのか

地震など自然災害による傷害では、傷害保険は利用できないのが原則です。東日本大震災でも、傷害保険による保険金の受取はできません。傷害保険は、そもそも日常の中で起こるケガに備えるための商品だからです。

したがって、契約約款にも非日常的な災害によるケガは補償しないと書かれているのが一般的です。ただ、ごく一部の傷害保険に特約として自然災害によるケガを補償してもらえる商品があります。特約は天災危険担保特約といいます。

傷害保険は、火災保険や自動車保険などにも特約やセットでついている場合がありますので、保険料が安くても、傷害保険に加入する必要は低いかもしれません。特に大きなケガをする恐れのある自然災害による補償は受けられませんので、保険料を払うお金があるならば、貯蓄に回したほうがよいかもしれません。

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