人が亡くなった後、残された人が片付けをするのは想像以上に大変です。最近では、元気なうちに身の回りの整理をしておく生前整理を行なう人も増えています。自分で生前に整理しておけば、遺された人が困らずにすみます。
「身内や大家さんに迷惑をかけたくない」という考えや、遺された人々に自分の物や財産を託すという意味でも生前整理を行なう人が増えています。
遺品整理でよくある困りごととは?
都内在住の50代の男性Aさんは、両親が亡くなり、片付けをすることになりました。相続の手続きを急ぐため、まず通帳や印鑑などを探そうと、遺品整理業者に片付けを依頼し、余分なものはほとんど処分しました。
しかし、亡くなって数ヶ月が経ち、落ち着いてから考えると、様々な思い出の品も処分したことを後悔したのです。
遺品整理の際、通帳や印鑑、遺言書などを早く探したいこともあり、亡くなった後すぐ業者へ依頼することがあります。しかし、後になって、じっくり確認もせず処分したことを悔やむことがあります。できれば、落ち着いて時間をかけて片付けたいものです。
片付けは、ある人が数十年積み上げたものを崩す行為です。意外に見えない部分に多くの物があるものです。
片付けの最初の頃は丁寧に整理していても、次第に面倒になり、確認が甘くなり、捨ててしまいがちです。鍵やリモコンなどをも捨ててしまい、困る場合もよくあります。
遺品整理を始める時期と注意点
遺品整理は、故人が借りていた部屋を早急に明け渡す必要のある場合や、相続の対象となる品物を除けば、急いで整理する必要はありません。葬儀の後、心身共に落ち着いた頃に行うのがよいでしょう。
ただ、遺品整理を行うにあたっては、親族に連絡せずに勝手に遺品整理を行ってしまうと、形見分けして欲しかった、相談して欲しかったなど、後でトラブルになることもあります。
葬儀後の法要に集まるタイミングで、親族に相談したり、遺品を吟味してもらったりしておくと安心です。
遺品整理業者選びについては、単に処分する業者、選別して確認してくれる業者など様々あります。どこまできちんと片付けをしてくれるのか、見積時に確認しておきましょう。
遺族に配慮しながら作業をしてくれるのか、無理のないスケジュールを立ててくれるのか、納得いくまで説明してくれるかを考慮して、依頼しましょう。
遺族の負担を減らす生前整理
生前整理とは、財産関係の整理を含め、生前に身の回りの物を整理することです。近頃定着しつつある「終活」の一環でもあります。自分の死後、遺族は葬式の準備や財産の整理など、様々な手続きをしなければならなくなります。
それに加えて遺品整理を行うとなると、より多くの時間が必要となってしまいます。遺族の負担を減らすためにも、自分でできる範囲の生前整理をしておくと良いのです。
また、財産関係を整理し、誰がどの財産を相続するのかをあらかじめ決めておくことで相続トラブルを防ぐことができます。最近は、生前整理として片付けをしてくれる業者もありますので利用するのもよいでしょう。
生前整理でするべきこと
財産目録とも呼ばれるリストを作成することで、家族間のトラブルを防ぎ、相続にかかる税金が必要かどうかが分かりやすくなります。産関係は管理してくれる人に伝えておいたりするなどの配慮が必要です。
最近はスマートフォンやパソコンなど「デジタル遺品」が残されることが増えています。パスワードがわからず、専門業者にロック解除を依頼するケースもあります。「デジタル遺品」として放置されると、情報が悪用される危険性もあります。
本人は中を見られたくないかもしれませんが、ネットバンキングの口座明細など、重要な情報が残されていることがあります。遺産を把握するには確認が必要です。
見られたら困るデータは、外付けのハードディスクなどに保管し、その分は確認せず消去してもらったり、生前に消去しておいたりするなど、お互いに困らないようにしたいものです。SNSのIDやパスワードの管理なども信頼できる人に託しておきましょう。
駐輪場等の使用有無、ポストの鍵番号などは、エンディングノートに書いておくなどしておきましょう。終活は、死後に様々な面倒をかけることがある第三者の立場も考えることが大切です。独りよがりにならないよう注意しつつ、さっそく準備を始めてみましょう。
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