アスペルガー症候群の人への対応はどうすればよい?

コミュニケーション

アスペルガー症候群は発達障害ですが病気ではありません。発達障害は最近よく知られるようになっていますが、大人の発達障害の認知度はまだまだ低く、本人も周囲の方も困っていることがあります。

「空気が読めない」といわれるアスペルガー症候群の人たちですが、興味のある分野ならとことん頑張るという長所を持っています。アスペルガー症候群の大人への対応で注意しないといけないのが、あまり責めたりしてしまうとうつ病などになる可能性があることです。

アスペルガー症候群は、一朝一夕で簡単に改善できるモノではありませんが、まわりの人達の支援によって良い方向へ導くことができます。

アスペルガー症候群とは?

アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。自閉症は「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「パターン化した興味やこだわり」の3つの特徴を持ちます。

アスペルガー症候群では「対人関係の障害」と「パターン化した興味やこだわり」の2つの特徴があります。

また、「コミュニケーション」では、言葉の発達の遅れや知的発達の遅れはありませんが、相手の表情が読み取れない、人に関心をもって近寄るけれども、距離のとり方や話しかけ方が不自然だったりする傾向が見られます。

一方で特定の分野の知的能力が高い例が見られます。アスペルガー症候群は、発達障害のなかの広汎性発達障害に分類されます。広汎性発達障害はアスペルガー症候群以外に自閉症などがあります。

アスペルガー症候群の発生率は約4,000人に1人程度であるといわれています。

アスペルガー症候群の症状

アスペルガー症候群の症状は大きく3つに分けられます。「対人関係」「コミュニケーション」「興味・こだわり」の3つです。

1.対人関係

相手の気持ちを理解したり、場の空気を読むことが苦手な傾向にあります。そのため、社会人マナーが守れなかったり、その場の雰囲気を無視した言動になりがちで、「自己中心的」「空気が読めない」と誤解されてしまいます。

対人関係をうまく築くことが難しいです。具体的な症状には、以下のような特徴がみられます。

  • 相手の気持ちを理解できない
  • 自己中心的な発言をする
  • 平気で相手を傷つける
  • 対話する時の距離感が近すぎる
  • 場にそぐわない表情をする

2.コミュニケーション

会話能力には問題がなく、コミュニケーションは普通にできますが、会話の表情や行間を読むことが苦手な傾向にあります。明確な言葉で伝えないと、その意味が理解できないため、相手の言葉を勘違いして、傷つきやすいという特徴があります。

具体的な症状には、以下のような特徴がみられます。

  • 曖昧なコミュニケーションが苦手
  • 不適切な言動をする
  • 想像することが苦手

3.興味・こだわり

一度興味を持ったものに対しては、過剰なまでに熱中します。規則性や法則性のあるものを好み、異常なこだわりを見せます。その法則やルールを変えることを極端に嫌う傾向があり、崩されるとパニックに陥ります。

具体的な症状には、以下のような特徴がみられます。

  • 自分だけのマイルールがある
  • 記憶力が高い
  • 集中力がある

この特性は大きな強みとして生かすことができます。

アスペルガー症候群の特性

アスペルガー症候群は、知的障害のない自閉症と呼ばれていますが、個人差はあります。アスペルガー症候群の人たちにみられる一番大きな特徴として挙げられるのは、身内を含む他人とのコミュニケーションが非常に苦手であるという点です。

抽象的なことを理解する感性が欠如している傾向が高いため、たとえば、他人の表情などから、「悲しい」「怒っている」「嬉しい」などの感情を察することが苦手です。

このため、相手を傷つけるようなことを言ってしまっても、それに気付けず相手の気分を害してしまうことが多くあります。

アスペルガー症候群の治療法・対処法は?

現時点ではアスペルガー症候群の詳細なメカニズムがわかっていないため、根本的原因を取り除いて完治することはできません。

そのためアスペルガー症候群の対処法としては、「自分の気持ちを他人に伝えにくい」「周りの暗黙のルールがわかりにくい」など、社会生活を送る上でハンディキャップになりやすい症状を心理療法などで改善させることが主な手段となります。

心理療法と平行して行うのは、ストレスのケアとケースに応じた服薬です。アスペルガー症候群では自分の気持ちを他人に伝えにくく、その場の空気が読むことが苦手なため、相手を誤解しやすくなったり、相手から誤解されやすくなったりします。

訓練を進める期間も人間関係においてフラストレーションが生じやすいので、ストレス対策は大事です。もし、本人の気持ちの落ち込みが大きいようだったり、不安症状が顕著に出現している場合は、抗うつ薬や抗不安薬などによる服薬治療が必要になる場合もあります。

アスペルガー症候群は知能や言語発達が正常なため、周囲のサポートの重要性も軽視されやすい傾向があります。アスペルガー症候群は決して本人の個性の問題ではなく、サポートすべき疾患なのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました