寄生虫を宿すナメクジとカタツムリの違いとは?塩で溶けるが水で復活するの理由は?

生活全般

ジメジメしたものを好むナメクジは梅雨の時期に大量発生するのでよく目にすることがあります。昔からよく言われているのが「ナメクジに塩をかけると溶ける」というものがあります。

実際やってみたことがある人も多いかと思いますが、見事に溶けているように見えますが、実際は違うようです。また、ナメクジとカタツムリの違いや駆除する方法など疑問に思うことを解明していきます。

ナメクジとカタツムリの違い

ナメクジとカタツムリの見た目の違いは殻があるかないかです。ナメクジとカタツムリは陸に生息する巻貝の一種です。生物学分類学上でも共に「軟体動物門・腹足綱・有肺亜目・柄眼目」でナメクジもカタツムリも同じです。

カタツムリの殻がないものがナメクジですが、カタツムリの背中の殻は体の一部で殻をとってしまったり、壊したりすると死んでしまうのです。

また、ナメクジが進化してカタツムリになったと思っている人も実は「ナメクジはカタツムリが殻を失うという進化をした」というのが正しいことは驚きだと思います。殻が薄く平になったナメクジや薄くなった殻が体に埋もれているナメクジもいます。

殻が無くなることで、殻を背負っているよりも動きやすくなることや狭い場所にも行けることで進化したと考えられているようです。

ナメクジの繁殖のしかた

ナメクジは1匹で雄と雌の両方の生殖機能を持っている雌雄同体の生き物ですので、交尾をしてお互い精子を注入しどちらも産卵することが出来るのです。

また、雌のみで産卵する単為生殖でも繁殖することができるのですが、この場合では卵が少なかったり、孵化する確率が低くなるので、ほとんどが交尾での有性生殖で繁殖しているようです。ナメクジの繁殖期は冬から春です。

ナメクジの卵は丸い半透明(透明に近い)の球です。ナメクジは一回につき20から60個、生涯で200個くらい産むそうです。主に石の下や植木鉢の下、枯葉の堆積した地面などに産みつけます。

ナメクジの活動

ナメクジは多湿を好みます。乾燥する日中よりも日没から明け方にかけて活動して、昼間は石の下や植木鉢の下に隠れています。寿命は自然の中では1年で成熟し、死亡しているので春だけでなく、一年を通じて目にする事が可能ですが夏から秋にかけてはその数は減少していきます。

ナメクジと寄生虫の関係

ナメクジの個体によっては寄生虫に感染している場合があります。この寄生虫は広東住血線虫というものです。

1.広東住血線虫とは

体長が約22~23mmぐらいの線虫とよばれる寄生虫で主にドブネズミなどを終宿主とし、ナメクジやカタツムリなどを中間宿主とします。この寄生虫に感染しているナメクジに接触したり、口に入ってしまうと人間も感染します。

2.感染するとどうなるか

寄生虫が体内に入ってしまうと、幼虫のまま、脳や脊髄あたりまで移動します。人間の体内では成虫になりませんが、体内に寄生虫が存在することで出血、肉芽腫の形成、髄膜炎などの病気を引き起こす可能性があり、最悪の場合は死に至ることもあるので要注意です。

3.感染を防ぐ方法

ナメクジやカタツムリなどを生で食べないことです。また、手で触った場合はよく手を洗うことです。

ナメクジの駆除方法

ナメクジが好きな人はあまりいません。見た目がグロテスクでネバネバ、しかも家庭菜園の大敵です。見つけたら塩を振ってやっつけてはいますが、次から次へと表れてキリがありません。

1.ナメクジは塩で溶けるのか?

昔から言われているナメクジが塩で溶けるという話なのですが、実際には溶けるのではなく、ナメクジの身体が小さくなり、縮んでしまうということです。これは塩分濃度の違いによる浸透圧のしくみによるもので、ナメクジの体内にある水分が体外に排出される結果なのです。

ちなみにナメクジは身体の85~90%が水分からなります。人間は約70%なのでナメクジの水分がいかに多いかが分かります。

※浸透圧とは細胞膜で隔てられた濃度の異なる2液間で濃度の低い方から高い方へ水が移動する力のことをいいます。

ヒトには皮膚がありますので、たとえ塩をすりこんでも浸透圧によって内部からほとんど水分は出てきませんが、軟体動物であるナメクジは表皮の構造が単純で粘液に覆われているだけなので浸透圧によって内部に水分を保つことができず、水分が抜けていきます。

内外の濃度差が大きいほど、水分はどんどん抜けてしまい、少しの水分と残りの10%ほどの有機物だけが残るような感じになります。これは塩だけに限って起こる現象ではありません。

砂糖などの吸水性のある粉末であっても、焼酎や酢などの化学的な液体であっても、濃度に大きな差があれば、浸透圧によって水分が排出されますのでナメクジの身体はしぼみます。

その後、すぐに水を与えるとある程度は復活できるといえるのですが、ナメクジの体内のダメージはとても大きく、数日以内に死んでしまうことが多いようです。

2.ナメクジには塩よりも熱湯がよい

ナメクジを駆除するには塩より熱湯をかけるのが確実です。また、ナメクジが大量に発生するような状況で一度に退治する場合には、罠を仕掛けてもいいでしょう。用意するのはビールまたはオレンジジュースです。

ナメクジはビールやオレンジジュースの香りに寄ってくる習性があるので、これらをお皿などの器に入れて、ナメクジの出る場所に置いておくと、ナメクジが集まってきます。集まってきたところを熱湯で一網打尽にできます。

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