起業して会社設立を考えた場合、多くの人は「株式会社」の設立をイメージすると思います。
しかし、日本では法律で定められた数多くの種類の法人があり、状況によっては、設立するのは株式会社に拘らない方がよい場合もあります。
法人成りを考えている個人事業主の人も含めて、正しい知識を身につけておくためにも日本で認められている法人(会社)の種類とそれぞれの違い、メリットとデメリットについて分かりやすく説明します。
法人と個人事業主の違い
法人とは自然人以外のもので、法律上の権利・義務の主体とされるものです。
法人の場合は個人とは切り離した別の法人格となるため、そこから生じた責任も事業主本人とは切り離して法人が負います。
個人事業とは、個人が主体となって自己責任で事業を行い、全責任を事業主が負うものです。
個人事業主は開業届を出すだけでなることができますが、法人の場合は定款作成・登記が必要となります。
法人の種類について
法人は、「営利法人」と「非営利法人」に大きく区別されます。
「営利法人」は構成員の経済的利益を追求して、団体の利益を構成員(株主、役員、社員など)に分配します。
具体的には株式会社などがあります。
一方、「非営利法人」は構成員に対する利益分配を目的にしない法人です。
具体的には、公益法人やNPO法人、社団法人、学校法人、財団法人、社会福祉法人、宗教法人などが該当します。
個人事業主からの法人化
個人事業主の人が法人化(法人成り)する場合、「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」のどのタイプを選ぶのかという問題が出てきます。
それぞれ、会社設立コスト、出資・資金調達の方法、責任範囲などが異なります。
1.株式会社
株式会社は株式を発行し、投資家たちから調達した資金で事業を成立させるというものです。
経営者が資産をあまり持っていなくても、株式発行により資金を集めることができます。
出資者はお金を出すだけで、経営は取締役などの役員が行います。
2.合同会社
合同会社は出資者全員が有限責任社員となり、出資した人が経営にも参加していく法人形態です。
合同会社は間接有限責任なので、事業破綻や倒産になった場合でも、出資金以上の債務を背負うリスクがありません。
3.合名会社
合名会社とは個人事業主が複数人で、共同事業化する法人形態の会社です。
合名会社の社員は、もともとは個人事業主だった人が集まって構成されており、それぞれが出資してそれぞれが業務を行います。
設立手続きに費用が掛からないため、会社設立のコストを抑えることができますし、手続そのものも株式会社や合同会社と違って簡単です。
しかし、合同会社と違って無限責任を負うため、事業破綻や倒産が起きた場合は出資者全員の資産に影響が及びます。
4.合資会社
合資会社は、株式会社や合同会社の出資者のような有限責任社員と、合名会社のような無限責任社員の両方で構成されている法人のことをいいます。
株式会社や合同会社、合名会社は1人でも会社を設立することができますが、合資会社は最低でも2人以上の社員がいなければ設立・維持することができません。
個人事業主と比較した法人事業者のメリットとは?
1.各種税金によるメリット
事業活動に対する所得に対して必ず税金がかかります。
個人事業主の場合は、所得税・住民税・事業税ですが、法人になるとこれが法人税・法人住民税・法人事業税と変わります。
どちらも課税義務のあるものとして似ていますが、両者は税率に大きな違いがあります。
所得税に関しては、その額によって累進課税が課されますが、法人は所得税の上限が個人事業主の累進課税の上限よりもかなり低く抑えられています。
ある程度の所得が出てくると法人化したほうが税額を抑えられるメリットがあります。
2.経費計上で節税ができるメリット
企業主体で活動を行う法人は、「損金」としての処理ができるため経費計上できる種類が個人事業主よりも多くあります。
全く関係のないものを経費とすることはできませんが、たとえば出張の際の交通費を設定すれば、出張旅費として全額を経費計上することができ、節税に繋がります。
3.社会的信頼が得られる
会社の事業所の住所がはっきりと明確にあり、事業内容や従業員数が第三者に分かること、公示していることで、社会的な信頼が得られます。
このことによって他法人との契約によるつながりを持つことが円滑に進み、事業内容の充実が図れます。
なお、個人の場合、法人と比べて社会的な信用度が低く、特に大手企業などとの取引では、法人でない限り取引口座を開いてもらえないといった場合があります。
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