きちんと寝たはずなのに疲れが取れていなかったり、日中眠くなったりするという人は、質の良い睡眠がとれていない可能性があります。
睡眠はただ長時間眠ればいいというわけではありません。
大切なのは、睡眠時間より睡眠の質です。
睡眠の質を高めることによって、疲労回復や美容効果を得ることができます。
しかし、質の良い睡眠をとるためには、やはり入眠準備と、朝の時間を意識しなければいけません。
睡眠の種類
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。
この2つはセットになっており、一晩に4、5回、一定のリズムで繰り返しています。
1.レム睡眠
カラダは眠っていても、脳は覚醒に近い状態で活動している浅い眠りです。
レム睡眠時に夢を見ており、目覚めの準備段階なので、レム睡眠時に目覚めると脳がスッキリとします。
2.ノンレム睡眠
大脳もカラダも熟睡している深い眠りで、この時期に起きると目覚めが悪くなります。
この2つの睡眠をバランスよく取ることができれば、ぐっすりと眠ることができ、質の良い睡眠だといえます。
質の良い睡眠をとるには
1.眠る環境を整える
質の良い眠りのためには、寝室の環境を整えることが大切になります。
具体的には、部屋の広さ・温度や湿度・音・光・色彩・香り・セキュリティなどが挙げられます。
寝室の環境を考えるときに、参考になるのがホテルの部屋です。
たとえば、ホテルでは外の騒音をシャットアウトするため窓が二重サッシになっていたり、光については間接照明で薄暗く設定され、空調も整えられているなど、眠りを妨げるさまざまな要因がこまやかにコントロールされています。
眠りに入りやすい環境というのは、様々なものがありますが、寝具などをしっかりと自分に合ったものを用意することが大切です。
また、部屋の色調はベージュやグレーなどの落ち着いた色でまとめられ、インテリアも同一のカラーやデザインが使われるなど、安らぎを感じられる空間になっています。
人は色でリラックスもできますし、興奮することもできます。
2.自律神経のバランスを整える
自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活が大切です。
心身の様々なバランスを自動的に調整してくれる神経(自律神経)があります。
怖いものを見ると心拍数が上がり呼吸が速くなり、反対に気持ちが穏やかなときは心拍数が下がり呼吸はゆっくりになります。
これは自分で意識しなくても勝手にそうなっているものですが、これは自律神経が自動で調整しているためです。
自律神経には、緊張の神経である「交感神経」とリラックスの神経である「副交感神経」があります。
健常な人では日中は交感神経が活性化していて「活動モード」になっています。
反対に夜間になると副交感神経が活性化して「休息モード」となっています。
そして明け方になるにつれて徐々に交感神経がまた活性化してきて、また身体は活動モードになります。
この健常な交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、眠りが浅くなり、日中の活動にも支障が出るようになります。
夜に交感神経が活性化してしまうと、脳が興奮してしまうため眠りに入りにくくなり、また入ったとしても浅い睡眠しか得られなくなります。
また朝になっても副交感神経が活性化したままだと、目覚めが悪かったり、朝になってもだるいままでいます。
健常な交感神経と副交感神経のバランスを保つために、日中に交感神経を活性化させる方法として、刺激のある環境に身を置く事です。
私たちは何らかの刺激を感じると緊張し、交感神経が興奮するからです。
仕事や勉強、運動などに集中して取り組んでいる時は交感神経が活性化します。
適度なストレスがかかる環境に身を置く事も交感神経を活性化させるのには意味があります。
また、夕方から寝る前に副交感神経を活性化させるような活動をするようにしましょう。
(1)寝る前のお風呂
睡眠に入りやすいタイミングは、体温が下がるときです。
少しぬるめのお風呂にゆったりとつかると、副交感神経が優位になって、体も心もリラックスします。
そして、お風呂から出て少したつと、温まった体温が下がります。
このときに自然と眠たくなります。
なお、熱めのお風呂は交感神経を優位にしてしまうので逆効果です。
また、頑張って長風呂してのぼせるのも、交感神経を優位にするので逆効果です。
深い睡眠をえるためには、心地よい温度のお風呂に入りましょう。
(2)眠る前にすこしのお酒
お酒も少量であれば睡眠には効果的です。
副交感神経になって眠りに入りやすくなります。
しかし、飲み過ぎは逆効果です。
交感神経を優位にするので、たとえすぐに眠れたとしても夜中に起きてからなかなか眠れなかったり、浅い睡眠になってしまいます。
3.刺激物を避ける
刺激物というのは、脳や身体を刺激して興奮させてしまう物質です。
脳は刺激されれば覚醒しますので、睡眠の質が下がります。
そのためこのような刺激物は睡眠前には極力避ける必要があります。
睡眠に入る2~3時間前からはこのような刺激物は避けるようにしましょう。
では脳を刺激するものはカフェインやニコチンの物質の他に騒音、異臭、強い光(ブルーライト)、寒暖の刺激などもあります。
部屋に光が入ってくるようであれば、それが刺激となり眠りは浅くなります。
この場合は光が入りにくい部屋を寝室に変えたり、遮光カーテンを使うなどといった工夫が必要です。
また部屋の温度も適温に調整しましょう。
部屋の温度だけでなく、季節に合わせて寝具(毛布、布団など)も適温になるものを選びましょう。
また、悩み事も脳を刺激する原因になり、睡眠においては「刺激物」になります。
ベッドの中で考え込んでしまえば、脳が覚醒し眠れなくなります。
眠れずに寝不足となれば精神状態は不安定になりやすく、余計に悩み事は深刻化する傾向にあります。
4.起きたらダラダラしないようにする
朝の10分間を大切にします。起きたばかりの状態は、まだ脳は起きていません。
テレビやパソコンをつけても頭に入らず、ボーっとした状態が1日続く事もあるので、起きたらすぐに体を動かし、光をしっかり浴びてしっかりと脳を起こすようにしましょう。
朝は、体内時計がリセットするきっかけになりますし、1日のリズムを作り出すことができます。
すると時間が来れば、自然と夜、眠くなり熟睡できるようになるので、朝の時間で生活リズムを安定させることは大切です。
質の良い睡眠がもたらす効果
1.疲労回復
睡眠時に分泌される成長ホルモンが、細胞の新陳代謝を促し、日中の活動で傷ついた皮膚や筋肉などの機能を修復します。
2.免疫力アップ
睡眠を促すホルモンのメラトニンには、免疫力を向上させる効果があります。
睡眠時に白血球・赤血球・リンパ液が作られ、カラダの免疫力を高める働きがあります。
また、成長ホルモンには体組織を修復・再生する働きがあり、古くなったり傷ついた細胞を治す効果があります。
3.記憶力や集中力の向上
睡眠中に脳は、その日の出来事や学習したことを整理して記憶する働きがあると考えられています。
また、人間の行動を決めて指令を出す「大脳」は、起きているときにはフル活動しているので、睡眠をしっかりとり、十分に休ませることで、集中力が高まり、さらに脳機能の向上につながります。
4.脂肪燃焼
成長ホルモンには、脂肪を燃焼させる効果があります。
しっかりと深い眠りに入ることで、成長ホルモンが分泌されて、脂肪が燃焼・分解されます。
しかし、睡眠時間が少なかったり、眠りが浅かったりすると、脂肪が燃焼されずに蓄積します。
5.ストレス緩和
不安感や不快感などのイライラは、大脳のニューロンが過度に興奮して起こると考えられています。
睡眠によって脳を休ませることで、ニューロンが修復されるので、ストレス緩和に効果があります。
6.美肌効果
成長ホルモンには、肌のターンオーバーを促す働きがあります。
新陳代謝がよくなるため、肌荒れなどが改善され、美容効果が期待できます。
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